『計算尺の秘密基地』 =>

操作記述について


 このサイトで使用する計算尺操作の簡潔な記述(ラコニズム laconism, notation)について説明します。


 計算尺ダイヤグラムなどの図示や画像による操作表現は理解しやすくて良いのですが、場所を取るので、 表内に入れる時などには不向きです。
 本サイトでは、ダイヤグラムとともに、文字・記号(テキスト)による操作表現(ラコニズム laconism, notation )を多用します。
 本サイトで使用している表記方法は、書籍や ISRG のメッセージ等を参考に設定した独自のローカルルールであり、 一般的には通用しませんので、ご注意願います。
 
◆記号・略号
 
A[a] : 尺度 A の数値 a を示します。 基本的に下記の様式で尺度と数値を示します。
 
《尺度の種類》 [《数値》] 
 
《尺度の種類》 は基本的に A, B, C, D, K, L, LL, S, T 等アルファベット大文字等で示します。
《数値》 は、 a, b, c, x, y 等のアルファベットや、実際に 2.34, 5 等の数値で示します。
 
h : カーソル線 (hairline)
 
i, idx : 基線 (index)
 
l.i : 左基線 (left index)
r.i : 右基線 (right index)
c.i : 中央基線 (center index) (A,B尺)
 
hbr : 目安線 (hairline on back of rule) (片面型計算尺)
 
l.hbr : 右目安線
r.hbr : 左目安線
 
 
sl, slide : 滑尺 (slide) の尺度 (C,CI,B 尺等) を示します。
 
主に基線の指定 "sl[i]" に使用します。
 
st, stock : 固定尺 (stock) の尺度 (D,A,K 尺等) を示します。
 
主に基線の指定 "st[i]" , "st[hbr]" に使用します。
 
> : 操作記号
 
カーソル線を D尺 a に合わせる操作は "h>D[a]" と記述します。
 
 : 操作と結果の区切り記号
 
この記号の左側が計算操作、右側が読取り(計算結果)を示します。
 
@ : 計算結果の位置を示す記号(通常は省略)
 
計算結果の表記の後ろに "@h"(カーソル線位置) , "@sl[i]"(滑尺基線位置) 等、結果の得られる位置を示します。
 
◆ 例1
 
【a】 h>D[a] → A[a^2] @h :
 
 カーソル線を D尺 a に合わせると、A尺に a^2 が得られる。
 
【b1】 h>D[a] CI[b]>h → A[(a*b)^2] @sl[i] :
 
 カーソル線を D尺 a に合わせ、滑尺 CI尺 b をカーソル線に合わせると、滑尺基線上 A尺に (a*b)^2 が得られる。
 
【b2】 h>D[a] CI[b]>h h>sl[i] → A[(a*b)^2] @h :
 
 カーソル線を D尺 a に合わせ、滑尺 CI尺 b をカーソル線に合わせ、カーソル線を滑尺の基線に合わせると、 A尺に (a*b)^2 が得られる。
 
※ 【b1】 ,【b2】は同じ計算ですが、【b1】はマンハイムなどのABCD尺 ,【b2】はずらし尺系の計算尺等で A尺が滑尺に近接せず離れている場合の操作表記です。
 
◆ 例2 《省略形》
 
 無くても意味が通じそうな "h>" や "h>sl[i]" や "@sl[i]" 等の記述を省略する場合があります。
 
【a】 D[a] → A[a^2] :
 
 カーソル線を D尺 a に合わせると、A尺に a^2 が得られる。
 
【b】 D[a] CI[b] → A[(a*b)^2] :
 
 (カーソル線で) D尺 a と CI尺 b を合わせると、(滑尺基線上の)A尺に (a*b)^2 が得られる。
 
※ 【b】は、◆例1 の【b1】 ,【b2】共通の省略形ですが、【b2】に対しては不親切すぎるかもしれません。 (実際に計算尺を手に持って操作しながら読む分には十分な表記だと思うんですが・・・。)
 
◆ 数値の探査 《模索中》
 
 方程式を解く場合や n乗根を計算する際に、条件に合致する数値をカーソル線や滑尺・固定尺の基線で探す場合があります。
 実は、こういったチューニングについての表記方法についてはまだちゃんと考えてません。
 そこで、暫定的に操作表記中に、
 
"h>【find B=K】" :
 
 カーソル線移動で B尺と K尺の数値が一致するところを探す。
 
"find (x1,x2 | x1=x2) 【 B[x1]>h ⇔ sl[i]>D[x2]】" :
 
 滑尺を動かして、カーソル線下の B尺数値と滑尺基線下の D尺数値が、一致するところをさがす。
 
といった様な表記を行います。 分かりにくいかもしれませんがご容赦願います。