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ST尺は必要か?


■ST尺とは
 
 まず、ここでいう ST尺は、約 0.6°〜 約 6°の角度θの sinθ値, tanθ値を求めるための尺度一般を指します。
 計算尺により、"ST", "S&T", "SRT", "STI"(逆目盛), "SITI"(逆目盛) などと表記されてますが、ここではすべてひっくるめて "ST尺" とします。
 実は、ST尺は計算尺によって目盛の刻みが微妙に違います。
 
(a) C,D尺にsinθ値を与えるもの
(b) C,D尺(逆目盛の場合、CI,DI尺)にsinθ値とtanθ値の幾何平均を与えるもの
(c) C,D尺(逆目盛の場合、CI,DI尺)に角度θのラジアン変換値 θrad を与えるもの
 
 (a)は古いリーツ式計算尺などに多く、旧マンハイム式(S尺がA尺に対応)の名残と思われます。
 ここでは、(c)のラジアン値を与えるものとします。
 
■デシトリッグのST尺
 
 三角関数尺は計算尺により、大きく分けて、 度分秒式(60進), 度の10進式(デシトリッグ), ラジアン式の 3種あります (他に、直角=100度形式のものがあるがマイナーなのでバス)。
 
 このうち、ラジアンタイプは電気用計算尺に見られるタイプで、ST尺は無く、約 0.1 ラジアン以下の sin, tan 値はラジアン値をそのまま使います。
 また、大抵、 度(10進)−ラジアン の換算尺がついてるので、度(10進)での微小角もラジアン値に変換することで対応してます。
 
 ST尺は残りの 2形式でポピュラーな尺度ですが、形式による能力差があります。
 ともに、約 0.57°(約 34' 23") 〜 約 5.7°(約 5°43' 35") の sin値, tan値の計算に使用しますが、 デシトリッグの ST尺はその下の領域 約 0.057°〜 約 0.57°や、もっと下の領域までサイクリックに使用できます (ラジアン値を与える ST尺ならばですが・・・)。
 
 つまり、デシトリッグの ST尺は C尺を 57.3 (=180/π) で切断してずらした、いわゆる「ずらし尺」です。 試しに、ST尺の 1°を D尺の左基線(1)に合わせてみると、目盛がピッタリ一致します。
 
■ゲージマーク ρ°
 
 ここまで言うと、もう私の掲げた議題の意味がお分かりになったと思います。
 「ゲージマーク ρ°で事足りるのでは・・・」