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「 MS Office 『図形』の秘密基地【3D表現&VML編】」

   折角だから3D表現機能を使ってみる


「図形」の「3-D書式」・「3-D回転」って使ってる?
 
 どうせ、みんな Word 文書や Excel,Powerpoint で 「図形」 なんて使ってないでしょ?w
 どうせ、スマホやデジカメで撮った写真やネットに落ちてるイメージやCADのスクリーンショットとかを貼り付けてるんでしょ?w
 
 CPU が高性能になって、メモリもいっぱい積んでるから、それが一番かも知れません。
 
 でも、どうしてもオリジナルの説明図が必要だったり、ファイルがデカくなりすぎてソフトの動作がおかしくなったり、 メールに添付したら「デカすぎる」と怒られたり、サーバーに拒否されたりとかありませんか?
 
 そんなとき、「図形」 はベクトル系だからメモリも喰わないのでオススメですよ。
 
 このページは、そんな 「図形」 機能でも さらに 「使われてないんじゃないか?」 と思われる 「3-D書式」・「3-D回転」 機能を利用してちょっとしたイラストの作成について、私の拙い例を掲げて紹介します。
 (でも、まあ、世の中クラウドだから、もうオッサンの 8 ビット時代の 「省メモリ」 的な感覚は皆無なのかな?)
 
 さらに、誰も MS Office ではやってないであろう VML を利用した 3D への単純穴表現にも挑戦してみました。 (結果は微妙でしたが…w)

【はじめに】
 
 MS Office (Excel / Word / Powerpoint) には 「図形」 というベクトル系お絵描き用オブジェクトがあり、その 3D 表現機能である 「 3-D 書式」・「 3-D 回転」 はちょっとした立体を描くのには大変便利です。
 
 下図はチョコレートを図形の 3D 機能を使って表現したものですが、このくらいの単純な1粒チョコレートや板チョコの様なもの の描画には十分と思われます。
 
 
 
 ただし、基本的に、平面図形押し出したり(「奥行き」)、盛り上げたり(「面取り」)、回転させてくっつけること (実際には重ねて並べてるだけ) しかできませんので、3D CG ソフトや 3D CAD の様にはいきません。
 あとは、「質感」 と 「光源」(ライティング)でくっつけた部分を 「如何にごまかすか?」 にかかっています。
 
 下図の足を見ていただいたら、ちょっと複雑になっただけでかなりキツイことがお分かりいただけると思います。
 もちろん、もっと細かく作成すればもう少しマシな絵にはなると思うのですが、一つ一つの図形に対して、 形状,グラデーションやテクスチャ,サイズ,面取り形状,角度,質感,ライティングとその角度等 あれこれ設定して調整するのは大変時間がかかってしまい、骨が折れます。
 
 
 
 このように、外側に凸な形状を作ってポコポコくっつけるのはなんとかですが、凹面やくびれを持つ立体や 切欠き・穴のある立体を作る(もしくはごまかす)のは非常にツライことがあります。
 
 例えば、キャラクターの頭部を作るとき、目や口の部分に単純な穴を開けたくなることがありますが、 MS Powerpoint の「図形の結合」→「型抜き/合成」・「切り出し」機能等を使用したり、 VML で中空フリーフォームを記述して穴を開けると下図の下段のように、穴の部分も「面取り」が適用されてしまいます。
 
 
 
 以下に、この辺のことも含めて、「図形」 の 「3-D書式」・「3-D回転」 を使った表現の例をあげていきます。
 

【基本的な操作】
 
 まずは、「3-D書式」・「3-D書式」 の使い方について、簡単に説明します。
 例として、下図のような 「きのこの山」 っぽいチョコレートスナック菓子のイラストを描いてみます。
 
 
 
1. 部品の平面図を描く
 
 『石づき(スナック菓子)』 と 『傘(チョコレート)』 との部品に分けて考えます。
 それぞれ『円柱』 と 『円錐・角錐』 に近い形状と考え、『石づき』 は 『円断面(横断面;軸と垂直方向の断面)』, 『傘』 は 『底面』 を 『基本の平面図形』 とします。
 
 『石づき』 は 「挿入」→「図形」→「円/楕円」 を使います。 例では直径を 2.2 cm 程度に設定してます。
 『傘』 は 「挿入」→「図形」→「六角形」 を挿入後、右クリックまたは 「描画ツール(書式)」→「図形の編集」 から 「頂点の編集」 モードに入り、「頂点の追加」 と 「頂点を中心にスムージング」 を使って輪郭を曲線化します。 例では、縦(高さ) 5.99 × 横(幅) 6.56 cm 程度になってます。(下図参照)
 
 
 
2. 3D 表現機能の準備
 
 3D 表現機能である 「3-D書式」・「3-D回転」を利用するには、3D 化する平面図形を右クリックしてリストを出し、その最下段の 「図形の書式設定」 をクリックします。
 右側に 「図形の書式ウィンドウが現れるので、左から2番目のアイコン 「効果」 をクリックします。
 各効果のリストが表示され、最下段2段に 「3-D書式」, 「3-D回転」 の項目がありますので、これらをクリックして準備完了です。 (下図参照)
 
 
 
3. 「面取り」・「奥行き」 で盛り上げる
 
 3D 表現の準備ができたら、平面図形を高さ方向に盛り上げます。
 
 「3-D書式」→「面取り:上」・「面取り:下」・「奥行き」の 「幅」・「高さ」・「サイズ」 を設定して 3D 形状を形成します。
 
 例では、『石づき』 は 「面取り:上」 を 「丸」 で 「幅」=30pt, 「高さ」=32pt, 「面取り:下」 を 「角」 で 「幅」=8pt, 「高さ」=86pt に設定しています。
 また、『傘』 は 「面取り:下」 を 「クールスラント」 で 「幅」=140pt, 「高さ」=148pt に設定しています。(下図参照)
 
 「3-D回転」→「Y方向に回転」 で 270° に指定すると、図形が正しく上下方向に向き、「面取り」 の形状を容易に把握できますので、 先に、この操作をしてから 「面取り:上」・「面取り:下」・「奥行き」 の設定を行った方が効率的です。(下図下側参照)
 「3-D回転」→「X方向に回転」 で 90°, 270° に設定しても同様に効率的です。
 
 「幅」・「高さ」・「サイズ」は pt (ポイント)= 1/72 in (インチ) = 0.352777…mm といった、ちょっと分かりにくい単位です。 しかも、元の図形を拡大・縮小しても、この値は固定なので、形状を維持するにはその都度設定し直さなければなりません。
 
 
 
4. 部品を回転して組み合わせる
 
 各部品を 「3-D回転」→「X/Y/Z 方向に回転」 に数値を設定して所望の角度に回転します。
 が、その前に、「3-D回転」→「標準スタイル」 に所望の角度やそれに近い角度がある場合はこちらを指定してから、 「X/Y/Z 方向に回転」 で微調整した方が効率的かもしれません。(下図参照)
 
 例では、『石づき』, 『傘』 とも、「3-D回転」→「標準スタイル」→「不等角投影1(左)」(X=64°, Y=18°, Z=0°) を選択しています。
 
 
 
 次に部品を組み合わせて完成させますが、『組み合わせる』 と言っても、各部品を 『重ねて並べる』 だけです。
 回転方向によって、部品の上下(前面・背面)関係が代わるので、図形をクリックして選択し、ウィンドウの上部のリボンメニューから 「描画ツール(書式)」→「前面へ移動」・「背面へ移動」・「最前面へ移動」・「最背面へ移動」 で部品の重ね順を変更しながら配置します。 (下図参照)
 もしくは、右クリックから同様の操作し、部品を重ね順を変更しながら配置します。
 
 
 
 以上で一応完成。
 後は、サイズ・角度とか、「質感」 や 「光源」 とその角度等、各パラメータの微調整を行って完了です。
 

【例: 簡単なキャラクターを描いてみる】
 
 
ポイント1: とりあえず適当に作ってみるw
 
 下図は、バンド 『がんばれ!Victory』 の非公式キャラクター 『びくとりーちゃん』(2015/08/29バージョン) を MS Excel の図形で 3D イラストっぽく表現したものです。
 一応、図中に各パーツをどう作っているかを簡単に記してみました。
 ただし、「質感」 と 「光源」 及びその 「角度」 に関してはスペースの都合上省略しています。
 作成手順を乱暴に言いますと、
 @各パーツを 「面取り」・「奥行き」で盛り上げて作成し、「3-D回転」で適度に回転する
 A各パーツを移動(ドラッグ&ドロップ)と「前面へ移動/背面へ移動」で並べる
 B大きさ・角度を微調整する
 C「質感」 と 「光源」 及びその 「角度」を駆使して、『パーツ間のつなぎ目』 等をできるだけ自然に見せるよう努力するw
 特に B, C は凝ってしまうと 『終わりの見えない果てしない作業』 になりがちなので、『こんなもんだろ』 と割り切りましょうw
 
 
 
ポイント2:単純穴・切欠きは平面図形でごまかす
 
 先程の図ですが、『口』 と 『舌』 は、実はグラデーションを掛けた平面図形をシールの様に貼り付けてごまかしています。
 他にも、先程の図中に記したように、ユニフォーム(胴)の金文字と赤線は単純に平面の線(「直線」・「フリーフォーム」)で描いてます。
 
 
 そもそも、3D といっても、『そんな簡単にリアルに表現できる機能ではない』 ようなので、あくまで 『 3D っぽいイラスト』 と割り切ることが肝要です。
もちろん、パーツの細分化やテクスチャに凝ることでよりリアルにはできますが、その分、 各サイズ・回転・質感・光源・角度などパラメータ設定が膨大になります。 そうなると、もう別のちゃんとした CG ソフトや CAD ソフトで作成すべきでしょう。
 
VMLの応用
 
 パターン図形等を表現する手段として、VML で 枠線(輪郭線)有り無し混在図形を作成していたら、 偶然、その図形が 3D 表現に中途半端にしか対応していないことが判明しました。(下図パンチングメタルのパターン図形)
 
 
 
 
 このタイプのパンチングメタル図形の穴って、「面取り」 に対応していない 『単純な穴・切欠き』 じゃないですか!
 早速、『びくとりーちゃん』 の頭部の口部分を切り欠いてみようと、VML を書いてみました。
 
 
 
 このコードでは、path 命令でまず、枠線なしで楕円から半円状の口部分を取り去った図形を肌色の塗り潰しで描画し、 その後、口の部分を肌色の線で塗り潰しなしで描画しています。
 (口の部分を、『枠線×;塗り潰し○』 と 『枠線○;塗り潰し×』 で二度描き)
 以下の図に、このコードで書いた図形の 3D での効果(最下段)を、「楕円」 及び 「通常の中空図形」 と比較してみました。
 
 
 
 これを見ると、どうやら 『単純な穴・切欠き』 とも違う効果のようで、あまり角度もつけられないようです。
 何か真横(x軸90°)以外は、グリーンバックで緑のシールを貼ってクロマキー撮影したような感じでしょうか。
 ともあれ、正面に近い角度では十分実用可能と見ました。
 
 で、先程の 『びくとりーちゃん』 の絵に適用した例が下図です。
 
 
 
 うーん、平面グラデーションシールとあまり変わらないような…。 いや、やっぱり違うような…。
 ただ、精神的に罪悪感のようなものはかなり減った感じがしますw
 

【「図形」 およびその 3D 表現機能に対する不満】
 
 昔から、Microsoft は DTP をナメていると思ってましたが、20年以上たっても何の改善も見られません。
 
 特に Excel はヒドイものです。
 印刷(PDF化含む)すると、文字や図形が膨れ上がって、ディスプレイ上とは異なった絵になってしまいます。
 文字の詰まったセルを印刷するときは、セル内の文字のオーバーフローに気をつけて、 セル内改行やセル高さの調節で余裕を持たさなければなりません。
 
 図形やワードアート,グラフ等のオブジェクトも印刷時に膨れるので、「印刷プレビュー」でよく確認しないと、 恥をかいたり、お叱りを受けたりすることになります。
 そのくせ、「印刷プレビュー」のズーム機能の貧弱さは何なんでしょう。
 
 最近はペーパーレスが進み、会議やプレゼンはプロジェクターを利用したりオフィスの自席でPC会議したりと、 紙媒体で資料を配付することは少なくなり、また、資料も直接電子データとしてサーバに保管するようになり、 MS Office のDTPの不備も大した問題ではなくなってきているかも知れません。
 
 しかしながら、3D 表現ではディスプレイ上の「表示」においても、同様の問題が存在します。 表示倍率が異なると「面取り」や「奥行き」の画面上のサイズが伸縮してしまいます。
 
 下図は同じ図形イラストを、400% と 75% の倍率で表示したものですが、400% の表示上でピッタリ付けた箇所が 表示を 75% にすると隙間ができてしまいます。
 
 
 
 例えば、プレゼン等で、75%, 400% の表示倍率でちゃんとした同じ絵を示さなければならない場合には、 各倍率において 3D 表現のパラメータを調整した絵を個別に用意しなければならないのです。
 
 ただでさえ 3D 表現は、「面取り」や「奥行き」 サイズの指定が pt 単位の上、 図形(元々の平面図形)のサイズを変更しても値が変化しないので、その都度手動で再調整が必要です。
 作図が面倒な上に、各表示倍率用や印刷用に微調節したものを用意しなければならないなんてひどすぎます。
 
 次に、3D 表現機能自体の話ですが…
 さまざまな形状の「面取り」 機能は面白いのですが、「幅」・「高さ」 の値の与え方を何とかして欲しいです。 「円」 以外の図形では幅の狭い部分が切り立ってしまうので、そこを丸めるようなオプションがあればと思います。
 
 あと、せめて (例えば、『ろくろ』 の様な) 回転系の 「3D書式」 機能があれば、 凹面表現などの作画がもう少し楽になると思うのですが…。
 

【最後に】
 
 ともあれ、折角ある機能なので、楽しく使ってみてはいかがでしょうか。
 
 
 
 おわり
 

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施工者 : norihito4(お笑いエンジニア)

改版メモ
2016/01/21 : 初版