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ずらし尺計算尺でトリッキーな5乗計算


 
この手法は、学校計算尺(√10切断)でも、π切断計算尺でも可能です。(3.6切断, 3.04切断でももちろん可能です。)
以下のような操作で、a の5乗 a5 を求めます。(※h:hair line:カーソル線)
 @ h>D[a], CI[a]>h ,
 A h>CF[a] → DF[a3]@h ,
 B h>C[a^3] → D[a5]@h .
または、
 B’h>CF[a3] → DF[a5]@h .
 
例として、2.73の5乗 2.735 を求めます。(答え 151.6)
 @ D尺 2.73 に C尺 2.73 を合わせます。
 A カーソル線を CF尺 2.73 に合わせると、DF尺に 20.35 (2.733) が得られます。
 B カーソル線を C尺 30.35 に合わせると、D尺に答え 151.6 (2.735) が得られます。
 B’また、カーソル線を CF尺 20.35 に合わせても、DF尺に答え 151.6 が得られます。
 
 
4.35 の5乗 4.355 の場合はどうでしょうか? (答え 1558)
 
 @ D尺 4.35 に C尺 4.35 を合わせます。
 A カーソル線を CF尺 4.35 に合わせると、DF尺に 82.3 (4.353) が得られます。
(B)カーソル線を C尺 82.3 に合わせようとしても、目外れなので、
 B’カーソル線を CF尺 82.3 に合わせて、DF尺に答え 1558 (4.355) を得ます。
 
 
 どうでしょう? 何か不思議な感じがしますが、要は滑尺操作で C, D尺(CF, DF尺)間に 1 : a2 の関係ができているということです。
 この方法(滑尺操作1回)を用いれば、数値の読み移しにさえ気をつければ、数値を5回掛け合わせる(滑尺3回)よりも、精度よくスピーディーに5乗を計算することができます。
 これに対し、LL尺を使う方法は最高速のスピードがありますが、数値が1から離れれば離れるほど精度が落ちます。
 また、L尺を使う方法は 2度の読み移しと整数部・小数部の分離処理など、煩雑なわりに精度は低いです。
 本手法はかなり有力ですが、5乗の計算自体なかなか出くわしません。
 
■参考文献
 
・ISRGメッセージ

改版メモ
・2015/04/09 : 初版